決断できない上司」に疲れたあなたへ。
4月7日は、日本初の長編歴史ドラマ『大河ドラマ』が産声を上げた記念日です。その第1作『花の生涯』の主人公は、幕末の独裁者・井伊直弼。
「安政の大獄」で100人以上を処刑した彼が、なぜ第1回の主役になれたのか? この記事では、歴史音痴な100kgの後輩Kと一緒に、「嫌われ役が命を懸けて守った日本の未来」を3分で解説します。
読み終わる頃には、あなたの「嫌いな上司」も、少しだけ違った景色で見えてくる……かもしれません。(※ただし、後輩の馬券は救えませんでした)
ーー当ブログの住人たち(初めての方へ)ーー

後輩K 20代後半。橋本佐内より橋本環奈に興味津々。



けだま。 全力で中年。吉田松陰より吉田鋼太郎の渋みを研究中。
皆さんこんにちは。いかめしい顔で「このシーンの歴史考証は……」とは語れない、マイルドな歴史好きの けだま。 です。
先日、私の愛すべき後輩Kからこんな相談を受けました。



先輩っ!俺ぁいい加減『歴史』ってヤツを学ばねばならねぇってことに気づきましたわっ!なんか良い教材みてぇなのあるっスか?



おお~!偉いぞ!お前もついに歴史の大事さに気づいたわけだなっ!!ちょうど本日4月7日は、NHKの大河ドラマ第1作『花の生涯』が放送開始された記念の日なんだ!歴史を学ぶスタートに大河ドラマなんかピッタリかもしれないな。



……先輩?俺の話聞いてました??俺ぁ歴史を学びてぇって言ったんっスよ?誰が草花の一生を知りたいって言いましたか??



あはははは。勘違いするな。花の生涯ってドラマは、江戸時代末期の大老・井伊直弼(いい なおすけ)の話なんだよ。お前が心配してるような『アサガオの観察日記』じゃないから安心しろ。
解説:井伊直弼「毒花」の生涯(罪の側面)
- 独断での「条約調印」(勝手にルール変更) 当時、鎖国していた日本にアメリカのハリスが「貿易しようぜ」と迫ってきた際、本来必要な天皇の許可(勅許)を待たず、直弼は「あ、もう時間ないからいいや」と独断で「日米修好通商条約」に調印。これが「天皇を無視するのか!」と当時の武士たちの怒りに火をつけた。
- 「安政の大獄」という大粛清(逆らうヤツは全員クビ) 直弼のやり方に反対する人間は、たとえ位の高い大名でも知識人でも容赦なし。橋本左内や吉田松陰といった、後の日本を作ることになる若き天才たちを死刑に処すなど、100人以上を処罰。「冷徹な独裁者」として恐れられた。
- 将軍継嗣問題での強引な根回し 次期将軍を決める大事な局面で、自分の扱いやすい幼い少年(後の14代将軍・家茂)を強引に推し通した。対立候補を推していたグループを政治の表舞台から追放し、幕府内の結束をバラバラにする一因を作った。



ひぇ~っ!ただのやっべぇワガママ専務じゃねぇっスか!イイナオスケって聞いたことないっスけど、全然イイナオスケじゃねぇ!ワリイ(悪い)ナオスケだっつーの!!



確かに悪い一面もあるかもしれない。しかし、第1回大河ドラマの主人公に抜擢されるほどの人物だぞ?そこらのただのワガママ専務なわけないだろ?……。てゆーか、お前の悪口、うちの専務にばらすぞ?(笑)
解説:井伊直弼「花」の生涯(功の側面)
- 究極のリアリスト:戦争回避の「独断専行」 当時の世界情勢は、隣の「清」が大国イギリスにボコボコにされるほどの危機。直弼は確信していた。「今ここでアメリカと戦争したら、日本は終わる」。自分の命と引き換えに、戦争を回避する道を独断で選んだ「決断の人」だった。
- 幕府のプライド:「徳川の世」を最後まで守る責任感 直弼にとって幕府は「日本を200年以上平和にしてきたシステム」。話し合いで解決できない緊急事態に、あえて「独裁者」となってバラバラになりかけた幕府の権威を力技で一つにまとめようとした。
- 趣味人としての顔:実は「教養の塊」 直弼は「茶の湯」を極め、独自の流派を確立するほどの文化人。「一期一会」の精神を大切にし、常に死を覚悟していた。彼は、愛する日本の文化や平和を守るために、心を鬼にして刀を振るった悲劇のリーダーでもあった。



うぉぉぉーーっ!ダメ専務とか言ってすんませんでしたーーっ!!熱っちぃ漢だったんスねー!!



そうだな。そもそも『花の生涯』ってタイトルも、激動の幕末を駆け抜けた『男の散りぎわ』をなぞらえた、最高にかっこいい比喩なんだよ。



激アツちゅーのはよーく分かりました!!……ただ、先輩??この熱っちぃ展開からはちょっと井伊(言)いづらいんっスけど、俺の話聞いてもらえますか?



おお、おお!分かるぞ!!お前の『井伊(言)いたい事』分かるぞっ!!!是非この熱いドラマを実際観てみたいってことだろ?……でも残念ながら、現在この映像はほとんど現存してないんだ。当時はテープが超高価だったから、上書きして使い回してたんだよ。全52回もあるのに、NHKにさえ数回分しか残っていない。まさに、『花のように美しく咲いて、美しく散った作品』とも言えるよなっ!!



うわ!出たっ!NHKのテープ高杉て上書きしちゃったの変っっ!!(笑)



そうなんだ。同じ理由でおかあさんといっしょの初期映像もほとんど残っていないんだ。当時の2インチ磁気テープは、家が1軒買えるほど高価だったから、放送が終わったら上書きして使い回すのが当たり前だったんだよ。



なるほど、大河の英雄も、初代のたいそうのおにいさんも、大人の事情で上書き消去されたってわけっスね……。悲しすぎる……。……って、いや、それより馬……。



へっ?……馬っ!?



その幕末とやらの物語に馬ってあんま出てきませんやね?俺ぁ先週の『大阪杯』でめたくそやられて、今週の『桜花賞』は絶対当ててやろうと、花のように美しい乙女(牝馬)の歴史を学びたいんですわ!!



お・ま・え・は~~!!熱く語った私の時間を返せ!!そして週末も花のように(馬券が)散ってこいっっ!!
🌸 編集後記:花は散れども、情は残る
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回ご紹介した井伊直弼という男。独裁者と蔑まれ、最期は雪の桜田門外に散りましたが、彼が茶の湯で大切にした一期一会という言葉は、今も私たちの心に深く根付いています。
今この瞬間は、二度と繰り返されることのない、一生に一度の出会いである
直弼はこの精神で、日本を救うための孤独な決断を下しました。……翻って、我が愛すべき後輩K。彼もまた、週末の競馬場で「一生に一度の勝負っス!」と叫びながら、一期一会の諭吉(現・栄一)たちを次々と戦場(ターフ)へ送り出しています。
散りゆく花の美しさを説く私と、散りゆく馬券に涙する後輩K。 一見、噛み合わない二人のやり取りですが、この「どうしようもなさ」こそが、大河ドラマにも負けない、現代を生きる私たちの等身大の「ドラマ」なのかもしれません。
皆さんの日常にも、歴史に刻まれるほどではなくとも、誰かと笑い合える「最高の一期一会」がありますように。
(けだま。)










