8月31日は野菜の日――野菜トリビアで楽しむ「サラダ仕立ての歴史と文化」

8月31日は野菜の日――人類の発展に寄り添った元祖スーパーフード!!

8月31日は「や(8)さ(3)い(1)」の語呂合わせから「野菜の日」として制定されています。1983年、全国青果物商業協同組合連合会などが中心となって広めた記念日で、野菜の魅力を改めて見直す日として定着しました。健康志向が高まる現代において、野菜はますます注目される存在です。本稿では、数多の野菜にまつわるトリビアを「美味しいサラダ」のように盛り合わせてご紹介します。


■ 野菜の歴史――人類とともに歩んだ食文化

人類が農耕を始めたのは約1万年前とされていますが、その最初の栽培作物の一つが野菜でした。小麦や米のような穀物に比べると保存性は劣るものの、栄養や味わい、そして四季を感じられる食材として古代から重宝されてきました。

日本においては弥生時代に稲作とともに野菜の栽培が広まりました。奈良時代には中国から多くの野菜が伝来し、平安時代には「御菜(おさい)」と呼ばれる副食として宮廷料理に欠かせない存在になります。野菜は単なる副菜にとどまらず、文化や儀礼にも深く関わってきたのです。


■ トマトはかつて「食べられない」扱いだった!?

今やサラダやソースに欠かせないトマトですが、ヨーロッパに伝わった16世紀当初は観賞用の植物として扱われていました。ナス科であることから「毒がある」と誤解され、食べるのを敬遠された時代もあります。イタリアで食材として広まったのは18世紀以降で、ナポリの人々がパスタにトマトを合わせるようになったのがきっかけでした。日本にトマトが入ってきたのは江戸時代ですが、当初は「唐柿(からがき)」と呼ばれ、やはり観賞用として楽しまれていました。


■ ジャガイモと飢饉の関係

ジャガイモは南米アンデスが原産の野菜で、大航海時代にヨーロッパへ広まりました。特に寒冷な土地でも育つため、アイルランドでは主食のような存在に。しかし19世紀半ば、ジャガイモ疫病によって大飢饉が起こり、多くの人々が命を落としました。この「アイルランド大飢饉」は、数百万人もの移民をアメリカへ送り出すきっかけにもなり、世界史に大きな影響を与えました。ジャガイモは食文化だけでなく、歴史そのものを動かした野菜なのです。


■ ニンジンはもともと紫色だった?

鮮やかなオレンジ色が特徴のニンジンですが、実は原産地である中央アジアでは紫や黄色が一般的でした。オレンジ色のニンジンが広まったのは17世紀のオランダで、オランダ王家「オレンジ家」にちなんで品種改良されたものといわれています。現在、世界で広く食べられているオレンジ色のニンジンは、このときに誕生した比較的新しい野菜の姿なのです。


■ キュウリは世界一栄養が少ない野菜!?

夏野菜の代表格であるキュウリは、実は「世界一栄養が少ない野菜」としてギネスブックに掲載されたことがあります。95%以上が水分でできているためですが、その分、体を冷やす作用があり、夏の暑さ対策としては非常に優れています。冷やしたキュウリに塩をふるだけで、立派な熱中症予防食になるのです。


■ 玉ねぎの涙の正体

料理中に涙を誘う玉ねぎ。切ると細胞が壊れ、「硫化アリル」という成分が揮発して目を刺激するためです。実はこの成分こそが玉ねぎの辛味や香りのもとであり、同時に血液をサラサラにする効果もあります。涙は出ますが、体にはありがたい効能をもたらしてくれる野菜といえます。


■ 世界の野菜事情

・中国は世界最大の野菜生産国で、全世界の約半分を占めるほどの圧倒的シェアを誇ります。 ・イタリアではトマト、フランスではタマネギとニンニク、ドイツではキャベツなど、それぞれの国の料理に欠かせない「国民的野菜」があります。 ・近年では「スーパーフード」と呼ばれるケールやチアシードなども注目されていますが、実はケールは青汁の原料として日本でも昔からおなじみの野菜です。


■ 日本の野菜文化

日本では四季折々の野菜が食卓を彩ります。春はタケノコや菜の花、夏はナスやトマト、秋はサツマイモやカボチャ、冬は大根や白菜。旬の野菜を楽しむことが、日本人の食文化の特徴の一つです。また漬物文化も豊かで、ぬか漬けや沢庵、しば漬けなど、野菜を保存食として活用してきた知恵が詰まっています。


■ 野菜の日を楽しむ

8月31日の「野菜の日」は、普段の食事に野菜を取り入れるきっかけとして最適な日です。サラダや炒め物、スープに旬の野菜をたっぷり取り入れてみましょう。また、家庭菜園に挑戦してみるのもおすすめです。自分で育てた野菜は格別の美味しさがあります。


■ まとめ

野菜は私たちの歴史や文化、健康に深く関わってきた存在です。トマトやジャガイモ、ニンジン、キュウリ、玉ねぎ――一つひとつに驚くような物語が隠されています。8月31日の「野菜の日」には、そんな野菜たちのトリビアを思い出しながら、カラフルで栄養たっぷりのサラダを味わってみてはいかがでしょうか。

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