――どんな生き物であろうとも食物連鎖の鎖からは逃れられない。
たとえそれが大海を悠々と泳ぐ絶対王者であったとしても――
いつも誰かを支えてる二人(はじめての方へ)

後輩K:毎月毎月、給料全額をもってパチンコ業界、競馬業界、更にはスイーツ業界をも…。結果的に日本の経済を支えてる縁の下の養分。



私(けだま。):毎日毎日、傾きかけた会社を支え、教育という名のもとに後輩を支え、主張の激しい家族を支える縁の下の人柱。
クジラは海の「ポンプ」である



おっ!来たな。養分!
前回はクジラの進化について話をしたな?今回は、食物連鎖の頂点。鯨偶蹄目(げいぐうていもく)=クジラの生態について学んでいこう!



だーれが養分っすか!!失礼なっ!!
てか、先輩の言う通り食物連鎖の頂点であるならば、タイトルの「生きても支えてる」っ嘘でしょ?
支えるどころか一方的に狩るだけのような気がしますぜ。



ほう!鋭いな!!キーワードはまさに『養分』。
それでは一体どういうことか見てみよう。
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クジラを介した循環システム
では、クジラはいったいどうやって海の生態系を「支えて」いるのでしょうか。
ポイントは、クジラが海の中を上下に移動することです。
たとえばマッコウクジラのような深く潜るクジラは、海の深い場所まで潜って獲物を捕まえます。
ところが、クジラは魚とは違います。
哺乳類なので、呼吸をするために必ず海面まで戻ってこなければなりません。
すると、ここでちょっと面白いことが起こります。
深海でエサを食べたクジラが、海面近くまで戻ってきて排泄する。
つまりクジラの体が、深い海にある栄養を、表層へ運ぶ「エレベーター」のような役割を果たすのです。
クジラの排泄物には、窒素やリン、鉄など、植物プランクトンの成長に必要な栄養素が含まれています。
それらが表層に供給されることで、植物プランクトンの生産を促すことがあります。こうして増えた植物プランクトンは、今度は小さな生物たちのエサとなり、さらにその先の魚や海鳥などへとつながっていく。
これが、いわゆる「ホエール・ポンプ(whale pump)」です。
つまりクジラは、ただ海の中で大量の生物を食べているだけではありません。
深い海の栄養を、もう一度「命の流れ」に戻している。
食物連鎖の頂点にいるクジラが、実はその食物連鎖の土台となる植物プランクトンにも間接的に関わっている。
そう考えると、「海の王者」という言葉だけでは、クジラという生き物の役割は語りきれないのかもしれません。



なーんか、釈然としませんね。結果的にう〇こが貢献してることは分かりますぜ。けど、たまたまって言うか、ごっつあんゴール感が否めないっすね。
やはりそこらへんは人類と違う野生動物の限界なんじゃ(笑)



ほう!
クジラは人類より遥かに劣り、コミュニケーションも満足に取れないからダメな奴らとな?
ではそのお前の偏見に満ちた間違った考えを正してやろう!
群れで生きる、歌でつながる



群れで支えあってることはおろか、歌で繋がってるクジラがいることを、お前は知らんから、人類より劣ってるなんて発言が出るんだ!
次は『クジラ歌謡界』の話をしていこう。



ガハハハッ!!クジラの歌!?もちろん、知ってるっすよ!!
♪~クジラ、クジラいま何時?いま九時いま九時ラララ~っすよねっ!!
(くじらの時計※おかあさんといっしょより)
ハッ!!
さーせんっ!真面目な話の最中に茶化しちゃって!!



おかあさんといっしょっっ!?
お前っ!俺のライフワークがおかあさんといっしょだってよく知ってたな!!
お前は話の振り方が上手い凄腕MCかよ!!
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コ、コホン!つい嬉しくなって話がそれたな。
では、ザトウクジラの生態について見ていこう。
クジラ界のヒットチャート!?ザトウクジラの歌の不思議
「クジラの歌」と聞いて、どんなものを想像するでしょうか?
海の中から、
「ホォォォォォ……」
なんて神秘的な声が聞こえてくる映像を、テレビなどで見たことがある人も多いと思います。
実は、この「歌」を歌うことで特に有名なのがザトウクジラです。
しかも面白いのは、ザトウクジラの歌が単なる「美しい鳴き声」ではないこと。
彼らの歌には、驚くほど複雑な構造があります。
まず、いくつかの音のまとまりである「ユニット」があり、それが連なって「フレーズ」になります。
さらにフレーズを繰り返して「テーマ」を作り、複数のテーマを決まった順番で組み合わせたものが、ひとつの「歌」になる。
つまり、
音 → フレーズ → テーマ → 歌
という、まるで楽曲のような構造になっているのです。
そして、ここからが驚き。
ザトウクジラの歌は、毎年まったく同じではありません。
少しずつ音が追加されたり、削られたり、テーマの構成が変わったりする。
その変化を、同じ個体群のオスたちが取り入れていくのです。
その結果、数年もすると、最初とはかなり違った歌になっている。
つまりザトウクジラの世界では、
「今年の新曲」が海の中で流行し、それが仲間たちへ広がっていく。
そんな現象が起きているわけです。
さらに南太平洋では、とんでもない現象まで確認されています。
ある個体群に、別の個体群からまったく新しい歌が伝わると、それまで歌われていた歌が急速に置き換わってしまうことがある。
研究者はこれを、「歌の革命(song revolution)」と呼んでいます。
実際、南太平洋では西から東へ、まるで新しいヒット曲が海を越えて伝わるように、歌が個体群間を広がっていく現象が確認されています。
もちろん、人間の音楽とクジラの歌をそのまま同じものとして扱うことはできません。
それでも、
「仲間から学び、少しずつ変化し、その変化が集団全体へ広がっていく」
という現象がクジラの世界で起きている。
これは、なかなか侮れません。
海の中では今日も、ザトウクジラたちによる「クジラ界のヒットチャート」が更新されているのです。
座礁したクジラが「爆発」することがある



そんな海の王者クジラもやがて生涯が尽きる。
その亡骸は海に沈んでいくのだが、まれに浜に座礁することもある。
その時は本当に注意が必要だ。彼らは爆発することもあるからな。



ば、爆発っ!?
んな、爆弾岩じゃあるまいし、メガンテ唱えて息絶えるんすか?
ハッ!さすがに騙されませんぜ!



お前はたまにクジラが浜に打ち上げられたってニュース見たことないのか?
では、どういうことか教えてやろう。
⚠浜でクジラの亡骸見ても絶対近づいてはいけない理由⚠
もちろん、クジラが自らメガンテを唱えて爆発するわけではありません。
原因は、死後に体内で発生するガスです。
クジラのような大型動物は、死後すぐに体内の微生物による分解が進みます。
その過程でガスが発生しますが、陸上に打ち上げられたクジラの場合、そのガスが体内にたまってしまうことがあります。
しかもクジラの体は、とにかく大きい。
そのため、内部にたまったガスによって体が大きく膨張し、場合によっては皮膚などが裂けて、まるで爆発したような状態になることがあるのです。
だから、浜辺に打ち上げられたクジラを見つけても、
「珍しい!近くで見てみよう!」
なんて考えてはいけません。
死んだ直後に見えても、体内ではまだ変化が進んでいる可能性があります。
つまり「クジラの爆発」は、都市伝説でも怪談でもなく、死後の分解によって生じるガスが引き起こす自然現象なのです。
ちなみに、ここまで読んで、
「なるほど。クジラって死んだら厄介なだけじゃん」
と思ったあなた。
……まだ早い。
海へ戻ったクジラの亡骸には、もう一つの、大事な役割が待っています。
それは、クジラ自身が死んだあとに始まる、もう一つの「命の物語」です。
クジラは死んだあとも働き続ける(鯨骨生物群集)



今の座礁して爆発!の話はあくまでイレギュラーな話。
たいていのクジラはその生涯を終える時、静かに海の底へ沈んでいくんだ。



じゃあ、海の底にはクジラのご遺体がゴロゴロあるんすか?



あはは。んな訳あるか!!
ここからは、この記事最大のハイライト鯨骨生物群集(げいこつせいぶつぐんしゅう)についてみていこう。
ステージ1:移動性捕食者の段階
海底に沈んだクジラの亡骸。
まず、その巨大な肉塊を見つけるのが、サメや大型の魚、タコなどの移動性の捕食者です。
海の中を自由に移動できる彼らにとって、クジラの亡骸は突然現れた巨大なごちそう。
クジラの肉を食べるために次々と集まり、亡骸を少しずつ食べていきます。
こうして最初の段階では、クジラの死体そのものが、海底に一時的な「食料基地」を作ることになります。
しかし、いつまでも大型動物が食べ続けられるわけではありません。
やがて柔らかい組織が減ってくると、次の主役へバトンタッチされます。
ステージ2:日和見種の段階
次に登場するのが、クジラの亡骸を利用する小型の生物たちです。
ゴカイや甲殻類など、周囲にある有機物を利用する「日和見種」が集まり、残された組織をさらに分解していきます。
ここでは、クジラの体が少しずつ海底の環境へ戻されていく。
そして、肉がほとんどなくなると、いよいよ主役が変わります。
残るのは、巨大な骨。
実はここからが「鯨骨生物群集」の本領発揮です。
ステージ3:化学合成生物群集の段階
骨の中には、まだ大量の脂質が残っています。
この脂質を利用する微生物などの働きによって、骨の周囲では硫化水素が生み出されます。
すると、その硫化水素をエネルギー源として利用する硫黄酸化細菌が活動を始める。
そして、その細菌を利用するゴカイ類や二枚貝など、さまざまな生物が集まってくる。
ここでは、太陽の光が届かない深海で、植物の光合成とはまったく違う仕組みでエネルギーが生み出されている。
これが、化学合成を基盤とした生物群集です。
つまり、最初はクジラの肉を食べていた生物たちが集まり、肉がなくなったあとには、今度はクジラの骨に残された脂質を起点として、別の生態系が成立する。
一頭のクジラが海底に沈んだことで、
肉 → 微生物 → 骨 → 化学合成 → 新たな生物群集
という、まったく別の「命の循環」が生まれていくのです。
クジラは死んでしまった。
けれど、その亡骸は単なる「死体」ではありません。
海底という暗闇の中で、長い時間をかけて、次の命を支える場所そのものへと姿を変えていくのです。
クジラは、生きても死んでも誰かの命を支えている
クジラという生き物を、ここまで追いかけてみると面白いことに気づきます。
海の中を泳いでいる間も、海底へ沈んだあとも、クジラの存在はほかの生き物へとつながっている。
もちろん、クジラ自身はそんなことを考えて生きているわけではありません。
ただ食べ、泳ぎ、仲間とコミュニケーションを取り、そして最後にはその命を終える。
その一つひとつの営みが、結果として別の命を支えている。
生きても、死んでも。
クジラは、海の生態系の中で誰かの命をつないでいるのです。



一つひとつの営みが、結果として別の命を支えている――。
お前の、そのパチンコだの競馬だの、無駄遣いだな。って思ってた営みも結果として別の命を支えているのかも知れないな。
もうこれからは小言を言わないから、思う存分誰かの命を繋いでこい!



ガハハハッ!!
先輩のブログ記事は誰とも繋がってないから、養分にすらならないっすけどね~!!(笑)
編集後記:鯨骨生物群集にみる、人間界との意外な共通点をニヒルに斬る
記事内で紹介した、クジラの亡骸=大きな大きな海の生き物たちの贈り物——。
これを聞いてなんと、自然界はダイナミックにサイクルが出来上がった世界なのだろうか!と感動したものだが、この話を仮に人間界に置き換えると少々景色が違って見える。
例えばクジラの亡骸=大きな利権ととらえると、ステージ①大型捕食者に食い荒らされステージ②残った肉ももっと小型種に食べつくされステージ③骨までしゃぶりつくされ…。無に帰す。
あるいは、クジラの亡骸=大きな炎上案件ととらえると、更に苛烈である。
四方八方からクジラの死肉に集まり、あっという間に骨も残らないさまを見るにつけ、ダイナミックではなく、浅ましさ。ニンゲンの業を感じずにはいられない。
ニンゲンも海の底で腐肉を待つばかりでなく、しがらみという名の鎖を断ち切り、悠々と大海を泳ぐべきである。








