フランス対イングランドはなぜ因縁?1000年前、一度イングランドはフランス人に征服されていた

ドーバー海峡をバックに鎬を削るレフランスとスリーライオンズ

W杯史上最高の「準決勝」の、その先へ。

96年の歴史を誇るサッカーW杯において、世界ランキング1位〜4位が順当に準決勝へ駒を進めたのは、実は史上初のこと。まさに異次元のハイレベルな大会となりました。

至高の準決勝2試合を終え、惜しくも3位決定戦に回ったのは、 フランス(レ・ブルー)とイングランド(スリー・ライオンズ)

この一戦、ただの「3位決定戦」だと思うのは大間違いです。そこには、単なる順位争いを超えた「負けられない理由」が詰まっています。

目次

3位決定戦が「極上のエンターテインメント」になる3つの見どころ

1. 宿命のライバル「英仏ダービー」という至高の舞台

準決勝でフランスはスペインに0-2で屈し、イングランドはアルゼンチンを相手に先制しながらも、85分に追いつかれ、アディショナルタイムに劇的な逆転被弾(1-2)を浴びるという、それぞれに悔しい幕切れを味わいました。

しかし、ピッチに立てば言い訳は通用しません。 ドーバー海峡を挟んだ歴史的なライバル同士の対決。

3位のメダルをかけた「ただの消化試合」などではなく、国のプライドをかけた本気の殴り合い(比喩表現)が期待されます。

2. 個人タイトルへの執念:得点王(ゴールデンブーツ)争い

準々決勝のモロッコ戦で今大会8ゴール目をマークし、得点ランキング首位を十分狙える位置にいる、フランスのエース、キリアン・エムバペ。

チームとしての優勝の夢は途絶えましたが、同じく虎視眈々と狙うアルゼンチンのリオネル・メッシらとの「得点王」争いは、彼にとって譲れない個人最高の栄誉です。

イングランドの堅固な守備陣を切り裂き、大会の主役としての存在感を最後まで誇示できるか。エースのゴールへの執念は最大の見どころです。

3. 次代を担う「若き才能」のショーケース

これまでの過酷な連戦で主力を休ませる、あるいは新戦力を試す目的から、3位決定戦では準決勝まで出場機会の少なかった若いスター候補や、未来の代表を担うタレントたちが先発に名を連ねる傾向があります。

フランス・イングランドともに、世界最先端のアカデミーから輩出された驚異的な若手がベンチに控えています。

彼らが硬さの取れたオープンな展開の中で、どれだけ眩い輝きを放ち、4年後への布石を打つか。戦術的にも非常に興味深いゲームになるはずです。

【歴史の補助線】1000年前に渡った、ドーバー海峡

このように、ピッチ上でバチバチのライバル関係を見せる両国。 熱い試合展開が予想されますが、実はおよそ1000年前、イングランドは一度フランス人の王に征服された歴史があります。

この熱戦をより深く楽しむために、少しだけ1000年前のドーバー海峡を渡ってみましょう。

ノルマン・コンクエストとは?

時は1066年。フランスのノルマンディー地方を治めていた領主「ノルマンディー公ギヨーム」が、海を渡ってイングランド王を力ずくで倒し、自分が新しいイギリス王(ウィリアム1世)に即位しました。

これが歴史に名高い「ノルマン・コンクエスト(ノルマンの征服)」です。

これにより、「支配層はフランス人、領民はイギリス(アングロ・サクソン)人」という奇妙な構図が誕生しました。

国のトップが全員フランス人になったため、宮廷ではフランス語が話されるようになり、これが現在の「英語」の中に大量のフランス語が混ざり込むきっかけになります。

「牛肉(Beef)」と「豚肉(Pork)」の秘密

フランスに征服されたイングランド。 その支配関係は、現代の私たちが使う「言葉」の中に、今も生々しく残っています。

  • 畑にいる牛:英語で 「cow」
  • 食卓に上る牛肉:フランス語由来の 「beef」
  • 泥にまみれる豚:英語で 「pig」
  • 食卓に上る豚肉:フランス語由来の 「pork」

「家畜を育てる(汚れる仕事をする)のは、英語を話す征服された側の農民」 「それを優雅に食卓で食べるのは、フランス語を話す支配階級」

言葉一つをとっても、当時の切ない階級社会の構図が見えてくるのです。

結び:1000年の歴史が交差するピッチ

このように歴史を紐解くと、両国の深く複雑な関係性が見えてきます。

今回、3位決定戦で相まみえる両者。

この一戦は単なるサッカーの試合ではありません。

約1000年前から積み重なった「負けたくない歴史」の延長線上にある、プライドをかけた戦いなのです。

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